〜晋助くんきたわよ〜!」
「わかった今行くー!」


私は鏡で自分を見直した後、小走りで部屋を後にした













「おまたせ晋助!」
「おせぇ、遅刻したらどーすんだ」
「平気、昨日より2分早いから!」
「昨日遅刻しただろーが」
「いいからいいから、はい出発ー!」


私は家から出ると、
シルバーのママチャリに跨って待っていた晋助の肩を叩いた
「さっさと後ろ乗れ、おいてくぞ」
「あいよー」
どっこいしょ、とワザと声を出して後ろに座ると、
案の定「ババくせぇな」と晋助が悪態をついた


「んなこと言って〜、そんな私が好きなくせに」
「言ってろ馬鹿、ちゃんと掴まってろよ」
「んー」


晋助は私の言葉を軽くあしらうと、ゆっくりとペダルを漕ぎ始めた
もう季節は夏初めで、日差しが朝なのに厳しくなってきている




****************




「ねー晋助、飲み物家から持ってくるの忘れたからコンビニ行こうよ〜」
「んな時間ねぇ、俺が持ってんのやるから我慢しろ」
「えー」


文句を言う私を横目に晋助は籠の中にある自分の鞄を漁って
お茶のペットボトルを取り出すと私に渡した


「ん〜・・・ありがと」
「おい、曲がるから気を付けろよ」
土手の道に入るために橋の手前にある細い砂利道を通る
自転車がその道にさしかかるとガタガタと音をたて始めた


「ああああ〜お尻痛い〜!」
「弛んだケツが引き締まっていいんじゃねぇか?」
「何ィッ!?そんなこと言うのはこの口かァアアア!!」


私は後ろから晋助の両肩を掴みガクンガクンと力任せに揺す振った


年頃の乙女になんてこと言うんだコイツは・・・!
モテるからって調子に乗りやがって!
「ちょ、おま、暴れんなっ!倒れ・・・


ガシャーンッ


「いったぁー!」
「っ・・・・・!」


見事にハンドルを砂利に奪われ横転

私は砂利道の横にある草むらの中に突っ込み
晋助は自転車を一緒に倒れた


「うわーマジで有り得ない!ねえ晋助虫ついてない!?」
「・・・・・」
「え、ちょっとどうしたの晋す・・「・・・ん打った」
「は?」


私が体中についた草や土を払いながら晋助に近付くと、
晋助は倒れた所にに蹲りフルフルと震えていた


「股間打った・・・俺の、もう使いモンになんねー・・・かも」
「股・・・間・・・・・・?」


私が顔を覗き込むと、涙目になりながらそう言った


「・・・・ぶふ」
「て、てめー笑ってんじゃねぇよ!」
「ぇ、いや、ごめ、ぶははははははっ!」
股間って・・・!股間打ったって・・・!!!!

マジウケるんですけどーーー!!!

私は必死に笑うのを我慢するものの、
視界に映ってる晋助を見ている限り無理に等しい
が、晋助からの凄まじい殺気に気付き一瞬にして笑うという動作を忘れた
「わ、私飲み物買ってくるよ。何がいい晋助、奢ってあげるから」
「おい随分切り替わり早いじゃねぇか」
「晋助はあそこの草原にいてね、此処じゃ通行の邪魔だから」
「お・・「じゃあ適当に買ってくるよ?いい子で待っててね・・・!!」

晋助から離れようとすると、グイッと右手を掴まれた

「・・・目の前にあんだろうが、自販機」
「あっれー?気付かなかったわ〜」
「俺コーラな。あっちで待ってる」
「・・・・・・」


私は小さい溜め息を吐いてから、自分の鞄の中から財布を出し自販機の前に立った
晋助のコーラと自分のオレンジジュースを買って、晋助のいる草原に小走りで戻った


「晋助ー、」
「おう、サンキュ」

草原の上で寝転がっている晋助にコーラを渡して、自分は晋助の右隣に座った
缶の蓋を開けるプシュッという音が同時に鳴る

「もう股間は大丈夫?」
「俺の股間は強ェからな」
「この話周りからしてみたら異様だろうね」
「はっ、一々気にしてられっかよ」

晋助はそういうとコーラを一口飲み缶を地面に置いた

「俺ァ寝る」

「え、学校は?」
「もうどうせ遅刻だ、昼ぐらいに行けばいいだろ」
「んーそっか、じゃあ私も寝る!」
私がごろんと寝転がると、晋助は自然と右腕を私の頭の辺りに伸ばしてきた

「何この腕」

「して欲しいんじゃねぇのかァ?」
「・・・・よくわかってんじゃん」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる晋助を横目に、私は頭を腕にのせた
すると左腕が伸びてきて、抱き締められるような形になった



「おやすみ、晋助」
「あぁ」





Less than lover ..
More than friend..

(もう少しこの関係が続きますように)
(早くこの関係が終わりますように)
(だって・・・)
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