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「少年。ちょっと運転してくれまいか」
「で、どうしてまだ6月なのに海に来なくちゃならないわけ?」
彼女と雲雀の関係としては一般的に言えば従姉弟というものであった。
彼女にとっては血縁などというものは無縁な存在であり、かつ、雲雀には重要な問題でもある。
「私が、来たかったからに決まってるじゃない。少年、君は馬鹿か」
はっ、と嘲るように笑う彼女の名は雲雀凛という。
その口調と性格には些かな問題はあるものの、彼女のボディーラインは完璧で文句のつけようもない。
ついでに言えば身長は理想的と云われる15センチ差がピタリと当てはまっていた。
「僕はまぁ、凛の水着が見れて嬉しい限りではあるけどね」
馬鹿と言われたことに対してはスルーする。
そんなこといちいち、気になんかしていたら疲れるだけだからだった。
「万年発情男」
「はいはい、なんとでも」
凛は2つ年上であった。
キスしてもいい?そう聞くとそっぽを向いて小さく勝手にすればいいじゃないかと言う。
雲雀は自分の欲に対して忠実で、彼女はそれは受け止めてきた。
雲雀と凛は抑えることを知らない。
自分の好きなように生きている。
一人ではできないこともあったために二人はいつも一緒にいた。
酸素が行き届かなくなった凛はカクンと跪きそうになった。雲雀がそれを支える。
例えば、これが一人ではできないことだった。
「そんなによかった?」
凛の耳元で囁く声には熱が既存している。
これからすることが、二人にとって意味のないものであり、また、二人の欲そのものだった。
まるで本能のままに生きるサバンナの動物である。
海といっても人が少ない。六月でありながら肌寒い日だった。
サーフィンをする人がちらほらと見えるくらいだ。
雲雀は凛を抱き上げ、一応の目隠しのために岩陰に行く。
「少年、今日は血祭りなのだが」
「構いやしない。ここは海だからね」
「…そうか、少年がいいなら私は別にいいのだがね」
血の繋がりが消えることはないが、彼等にはそれは意味をなさない。
己の欲にはなにも関係ないからである。
「少年、私は存外君が好きなのかもしれないよ」
「奇遇だね、僕も凛が好きなんじゃないかと思っていたところだ」
そうして
二人は堕ちてゆく